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河崎WS「勢田川とわたし」を振り返って

こんにちは! 石松研究室、修士1年の田代です。


 今回は、10月26日に三重県伊勢市で行われた「河崎WS 勢田川とわたし」について振り返ってみたいと思います。


 毎年研究室の修士1年が中心となって企画する河崎WSですが、今年は「勢田川とわたし」というタイトルで河崎の環境や文化、歴史にフォーカスしたワークショップを行いました。


 ワークショップの舞台である勢田川は伊勢湾に近接しており、潮の満ち引きによって水深や川の流れの向きが変わる川です。


 かつては、その特性を活かした水運が発達し、伊勢神宮の門前町としての賑わいを支えていました。そうした風土は建築や船着き場のかたちに表れ、河崎ならではの美しい景観を生み出していたのです。

 しかし、七夕豪雨後に行われた河川改修によって船着き場は失われ、町屋や蔵も立ち退くこととなりました。更に、川と建物の間に護岸道路が設けられたことで川との関係や対岸との繋がりが希薄になってしまいました。




 こうした背景から生まれたのが今回の「勢田川とわたし」です!


 変化し続ける川の特性や対岸との繋がりを色鮮やかなビニールテープで可視化したインスタレーションで表しました。さらに、その制作を地域の方々と一緒に渡し舟に乗って行うことで、水運によって栄えた河崎の環境の魅力を伝えました。

 もうお分かりだと思いますが、タイトルの「わたし」には「私」や「渡し」などの意味が込められています。(石松研究室らしい、ちょっとした遊び心です笑)


 当日は悪天候にもかかわらず、子どもから大人まで多くの方で賑わいました。河崎商人館の西山さんは、舟に乗る前は少し遠慮がちでしたが、川を往復して戻られたときには満面の笑みを浮かべておられました。その姿を見たとき、「このワークショップをやって本当に良かった」と心から感じました。


  環境や文化、歴史を可視化したインスタレーション           当日の様子



 舟については荷重の計算から設計・制作まで、全て自分たちで行いました。

 軽量化しながらも十分な強度を確保するため、何度も打ち合わせを重ね、3Dモデルを作成しては検討を繰り返したのです。

 大変な作業ではありましたが、その分とても充実した準備期間になりました。


 また、僕はイラスト担当としてポスター制作にも携わりました!

 歴史的なテーマでもあるため、イラストは日本画を意識し「対岸からの視点」「街並み」「川への反射」などを要素として込めました。(うまく表現できていれば良いのですが…)


 この拙いイラストをもとに、同期の古田さんが素敵なポスターへと仕上げてくれました。彼女のグラフィックデザインのセンスには脱帽です。


              舟を制作する様子                      完成したポスター



 最後に、この企画に関わってくださった全ての方に心より感謝申し上げます。


 河崎商人館の西山さんをはじめとする河崎の方々には準備期間から当日まで、多くのご支援を頂きました。準備中にも「今年も楽しみにしている」と声をかけてくださる地域の方々がいて、その一言が私たちの大きな励みになりました。本当にありがとうございました。



 そして、石松先生にはデザインする上で最も大事なことの一つを教わりました。


「このくらいでいいか、ではなく、ここまでやってやろう」


 思考の段階でブレーキをかけず、自由に発想し、とにかく手を動かすことで、最高に面白がれるものを創り出せる。そのことをこの河崎WSを通して実感しました。はじめは例年通りでいいか、と心のどこかで感じていた僕たちでしたが、先生の一言によって、今までにない最高のワークショップとなりました。改めて、心より感謝いたします。



 だいぶ長い振り返りになってしまったのでこの辺で終わりたいと思います。


 来年はどんな「ここまでやってやろう」が見られるのでしょうか、来年の後輩に期待です!


 それでは、また!

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